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莫大な利益を生むルビービジネスの問題

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カチン州Phakanにて個人で宝石採掘をしている人々(Photo:Ye Aung Thu,AFP)

ミャンマーのルビー貿易を激しく批判したGlobal Witnessの報告書では、ルビーの採掘に関わる多くのミャンマー人が死亡していると忠告している。
数億ドルの利益があるルビービジネスは、軍幹部と麻薬業者が厳しく管理しているとGlobal Witnessの調査で明らかになった。

現在ではミャンマーのルビー商売は大規模な違法ビジネスであるとも述べている。
もし、ミャンマーを支援している国際援助国がルビービジネスに対して圧力をかけなければ、この違法ビジネスで利益を得た勢力が今回の選挙で勝利してしまう可能性があると注意している。

しかし、ルビーを金属よりも重宝する中国の購買力は大きく、ルビー1キロにつき13,002ドルとなっている。
去年はルビー27個を使ったネックレスが香港で2,740万ドルの価格で売れた。

2014年のルビー貿易の収入は310億ドルとされており、これはGDPの半分に相当する。
この中から中国への正式なルートでは120億ドルを輸出しているとされている。

さらに、宝石の採掘ライセンスは政府に近い人物や企業であるEver Onenar Co.,Ltd、KBZ Group、Asia World、Htoo Groupが取得しているとGlobal Witnessが指摘しており、軍事政権時にも軍幹部と軍に近い人物がライセンスを取得していた。

その中でも2011年にテインセイン大統領に政権を渡したタンシュエ上級大将は、ルビービジネスを支配し、家族の経営する企業は2013年と2014年に3億ドル分のルビーを販売したという。
タンシュエ氏は米国の制裁リストにも入っている。

同報告書でルビーから利益を得ている人物として挙げたのは、 2014年に8,000万ドルを販売したOhn Myint現畜水産省大臣、1億ドルのルビーを販売したUSDPのMaung Maung Thein氏である。

米国政府が200万ドルの懸賞金を払うと発表しているワ族のWei Hsueh Kan氏は、ルビービジネスに深く関係している。
同氏の関連会社は1億ドルをルビービジネスで得ているとしている。

KIO/KIAとルビービジネスとの関係は明確になっていないが、ある採掘企業がKIO/KIAに生産額の10%を払っていると述べている。

現政府は過去の資源を明確にすると語っているが、その中でルビーは除外されている。

軍関係企業であるMEH、MECなどもルビービジネスで2億8,000万ドルを得ていると報告書で述べている。
さらに、ルビーから得た利益で兵器を購入し、ミャンマー軍とカチン武装グループの間での紛争が続いている。
2011年から現在までの紛争で数千人が死亡し、10万人が難民となっている。

ルビービジネスとカチンでの紛争は関連していると同報告書は述べている。
カチン族はミャンマー軍と政府に近い企業などが、カチン州の資源を管理することに反感を抱いている。
このビジネスからの利益配分をしない限り、和平合意は進まないとGlobal Witnessの報告書で述べている。

ルビービジネスに関しては明確なルールや法律がないため、環境破壊問題にもなっている。
去年はカチン州Phakan地区で、採掘の際に兵器を使用した鉱山爆破作業によって、衛生環境の悪化、病気や死亡事故などが発生したため、現地の人々が大統領に対し採掘企業が鉱山の爆破作業を止めるように依頼書を提出した。

さらに、池や貯水ダムなどが破壊され、牛、水牛などの家畜が死亡しているが、未だ採掘企業は責任取っていない。

また、コカ・コーラ社とCaterpillar Incのミャンマー側のパートナー企業が違法ルビービジネスに関連しているとし、国際ビジネス上にも大きな問題があるとGlobal Witnessの報告書で述べている。

ルビー生産額はカチン州だけの人口で計算すると、一人当たりGDP21,000ドルとなり、アセアン国の中でマレーシアに次いで4番目のGDPとなる。

ミャンマーでは軍政から民政に移行することで支援国が政治、経済発展を支援するために制裁を徐々に解除しているが、残りの制裁を解除する前にこのルビービジネスの問題を考えるべきであるとGlobal Witnessは述べている。

出所:http://www.7daydaily.com/story/49334;24.10.15;The Daily Eleven Newspaper,25.10.15